モトグッチ 500/4 GP(Moto Guzzi supercharged OHV 500cc four:その2)
過給機付きの45馬力が当時としてはハイパワー過ぎて、フレーム剛性やブレーキ性能が追い付かず、
1931年のモンツァのレースに出場したものの、製造した3台すべてが完走できず、その1回だけで終わったマシンだという。
だが、この教訓が後のモトグッチ・ロードレーサーに生かされていったとか。
ところで、OHVなのでプッシュロッドで吸排バルブを駆動させているかと思うが、
そのバルブ用と思われるシリンダーヘッドに見えるスプリングのゴチャゴチャ感が半端ない。
また、英文の解説には冷却方式の記述が無いのだが、ラジエーターらしき熱交換器やそれと連結するメッシュチューブ、
その末端にポンプらしき物体がある事から、水冷に近い構造なのかなと。
戦前の昭和5年にOHVの水冷に加え過給機の搭載など考えられない日本からすれば、かなり先進技術的なエンジンである。
(戦時中の日本の液冷エンジン戦闘機は低い生産技術のため、故障が多く稼働率が低くて使い物にならなかったし、
高高度で飛来するB29を迎撃するのに必要な高性能過給機の製造も終戦までに間に合わなかった)
因みに、過給機付きGPレーサーは戦前までで、戦後は燃料事情の悪化もあって、
スーパーチャージャーの搭載が認められないかたちでレース興行が再スタートしている。
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